あなたの心身を強くする呼吸法~呼吸で心も体も健やかに~

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どうにも体が疲れやすい。疲れが抜けない。
頭がすっきりしない。
いつもイライラしている。
いつも何かに追われているような気がして、心が休まらない。
理由(わけ)もなく不安を感じる。

あなたも心当たりはありませんか?

気づかないうちに、職場で、家庭でのストレスが溜まっているのかもしれません。
スポーツや運動もまた物理的、身体的なストレスです。

日々、心と体のケアをしているでしょうか?

世の中には様々な心身のケア方法がありますが、今回、おすすめしたいのは、「呼吸法」です。

呼吸法はメンタルの強化だけでなく身体の強化(インナーマッスルの強化)にもつながります。
心と体は表裏一体です。

「日々のあなたの習慣があなたを作っている」と言います。

特に、1日の始まりである朝の習慣が人生の質を決めるといっても過言ではないでしょう。
早速、朝起きてすぐの習慣として「呼吸法」を実践し、身体に新鮮な空気を目いっぱい取り入れましょう。

1 そもそも呼吸・呼吸法とは?

呼吸には以下の2種類があります。

①細胞呼吸(または内呼吸)
 血液と細胞とのガス交換。
 細胞が最終二酸化炭素 (CO2) を放出する異化代謝系。
②外呼吸
 空気と血液とのガス交換。
 多細胞生物体が外界から酸素を取り入れ、体内で消費して二酸化炭素 (CO2) を放出すること。
 出典:Wikipedia

細胞呼吸には酸素を伴わない嫌気系の呼吸がありますが、ここでは省略します。

一般的に「呼吸」といえば、外呼吸のことをさすことが多いようです。

この無意識におこなっている普段の「呼吸」に対して、意識的におこなうのが「呼吸法」です。

普通の「呼吸」が、酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する“生命維持の営み”だとしたら、「呼吸法」は、“心身の調整法”といえます。

呼吸は、意志によってコントロールできる「随意運動」と同時に、脳幹(延髄)での自動制御によって、寝ている間などもおこなわれる「不随意な呼吸運動」によって維持されます。

意識的におこなう「呼吸法」は、随意運動によるものです。

 

【肺での呼吸の仕組み】

肺は自ら収縮することができないので、周囲の筋肉の手助けを必要とします。

肺を動かしているのは、横隔膜肋間筋(ろっかんきん)などの「呼吸筋」です。

これらの呼吸筋が収縮(ちぢむ)・弛緩(ゆるむ)を繰り返すことで、肺を囲む空間の大きさが変化し、その結果、肺に空気が出入りします。


横隔膜や肋間筋が収縮すると、胸郭が拡大して空気が取り込まれ、反対に弛緩すると胸郭が狭くなって息が吐き出されます。

ここで、
横隔膜の働きでおこなう呼吸を「腹式呼吸」といい、
肋間筋の働きでおこなう呼吸を「胸式呼吸」といいます。

 

腹式呼吸のイメージは図のとおりです

息を吸うときに、横隔膜が収縮して下にさがり、内臓を押し下げます。

そうすると、内臓は腹筋で囲まれた前面と、骨盤底筋のある下方に押され、骨盤底筋の筋肉繊維はこの力に対し伸びて広がることで対応します。

逆に、息を吐くときは、骨盤底筋と腹筋が収縮し、内臓がまた上へと押し上げられます。

このように骨盤底筋と横隔膜は協力し合って、呼吸の大切な役目を担っています。


一方、胸式呼吸で肺の伸縮に係わっているのは肋間筋です。

肋間筋の収縮・弛緩によって胸郭が広くなったり狭くなったりすることで肺もまた収縮・弛緩します。

こうして取り入れた酸素は、血液の流れを介して、全身の細胞に送られ、体のエネルギー源になります。

肺の収縮・弛緩が小さく、浅い呼吸をおこなっていると、酸素が十分に全身の細胞に回りません。
そのため、エネルギー不足になり、ひいては疲れやすい、病気になりやすい身体につながります。

以上の理由から、ゆったりとした深い呼吸を心がけることが大切です。

たくさんの酸素を取り込むように「呼吸法」をおこなうことは、体にとって大変よいことなのです。

 

2 こんなにすごい!呼吸法


呼吸の働きは、「自律神経」の働きとも関連しています。

【自律神経】

「自律神経」は私たちの意志とは関係なく、身体機能を健全に保つために働いています。
胃や腸、心臓が休みなく動いているのも自律神経の働きによるものです。

また、自律神経は「交感神経」「副交感神経」という相反する働きの二つの神経から成り立っています。

交感神経は活動・緊張・ストレスといった状態にある時、とくに昼間に優位になります。

一方、副交感神経は休息やリラックス状態にある時、とくに夜間や睡眠中に優位になります。

自律神経のコントロールは無意識のうちにおこなわれています。

しかし、交感神経と副交感神経のバランスがくずれて、どちらか一方だけが優位な状態が長く続くと、倦怠感や不眠、動悸や頭痛、不整脈、食欲低下といったさまざまな不調が生じます。

放置しておくと自律神経失調症につながることもあります。

【交感神経】

「胸式呼吸」は交感神経を優位にする方向に働きます。

交感神経が優位になると頭がすっきりしてリフレッシュするなどのメリットがあります。

ただ一方で、私たちは、ふだん胸式呼吸をしていますが、とかく呼吸が浅く、短いものになりがちです。

短い胸式呼吸では吸い込んだ空気は肺の奥にまで到達せず吐き出されるため、肺には炭酸ガスなど不要なものが溜まります。
この状態が長く続くと、血液循環の低下や自律神経失調症を招くことになります。

また、満員電車での通勤、パソコン・スマホの長時間の使用、対面・SNSでの人間関係の悩みなど、現代人の生活習慣においては、とかく交感神経が優位になりやすいといえます。

 

自律神経のバランスがくずれた状態が続くと免疫力が低下し、ガンをはじめとするさまざまな病気になりやすいと言われています。(免疫理論 安保徹教授 [新潟大学] )

というのも、自律神経のバランスと白血球の働きが密接に関わっているからです。
白血球には3種類あり、基本細胞である「マクロファージ」、貪食能の強い「顆粒球」、免疫を高める「リンパ球」です。

健康な人は顆粒球とリンパ球の比率が6:4と言われていますが、交感神経が優位になると顆粒球が増え、顆粒球が放出する活性酸素で細胞や組織がダメージを受けます。

先ほどの安保教授のお話によると、「免疫力を高め、病気を遠ざけるには、副交感神経を優位にする必要があり、ストレスを解消し、心安らかな状態でいる時間をもつことが大切」とのことです。

【副交感神経】

順天堂大学医学部の小林弘幸教授によると、
交感神経の活動レベルは加齢の影響を受けることはないが、副交感神経は加齢の影響を受け、男性は30歳以降、女性は40歳以降から副交感神経の活動レベルが徐々に低下していくといいます。
参考: 2011年ベストセラー『なぜ、これは健康にいいのか?』(サンマーク出版)

この副交感神経の活動レベルを高めたいのですが、自律神経は自分の意思とは無関係に動いています。
それを意識的にコントロールすることができるのでしょうか。

それを可能にするのが呼吸法なのです。

私たちはふだん無意識に呼吸をしています。

しかし、その速さや回数については意識的にコントロールすることができます。
この無意識に行っている呼吸を、意識的なコントロール下に置くことで、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスをとることが可能となります。

特に、「腹式呼吸」は副交感神経の働きを高めます。
腹式呼吸は鼻で息を吸いながらお腹をふくらませ、吐く息でお腹をへこませます。腹圧をかけるため、胸式より呼吸のリズムが自然とゆっくりとなります。

特に、「吐く息」に意識を置くことで、副交感神経の働きを高めることができ、交感神経とのバランスをとることができます。

腹式呼吸をすると、肺の下にある横隔膜が上下運動します。

この横隔膜付近に自律神経が密集しているため、吐く息を意識的にゆっくりとすればするほど、自律神経を刺激し、副交感神経が優位になり、リラックしていきます。

整理すると・・・

・横隔膜も肋間筋も、骨格筋(呼吸筋)で「運動神経」の支配を受け、意識的に収縮させられる(随意筋)。

・心筋や内臓筋(胃・腸などの内壁)のように「自律神経」支配の筋肉は、意志によってコントロールできない。

本来、意識的に自律神経を直接コントロールすることはできないが、随意筋の骨格筋を動かすことで間接的に自律神経への刺激を与えることができるということです。

これが呼吸による西洋医学的観点からの身体調整の基本的な考え方となります。

呼吸法の効果として、他にも次のようなものがあります。

① 脳の活性化

セロトニンの分泌が促され、ストレスに対する耐性が向上します。

セロトニンは、精神の安定や睡眠、喜怒哀楽に深く関わっている脳内の神経伝達物質です。

その働きを活性化する方法の1つに「リズム運動」があり、一定間隔でおこなう呼吸法もそれに該当します。

また、同時にリラックス効果によって、脳波がα波(脳波)の状態となります。
それによって「潜在意識の活性化」、「記憶力の向上」につながります。

② 新陳代謝の促進

腹式呼吸は、効率的に体内に多くの酸素を取り入れることができ、血行も促進されることから、新陳代謝が促進されます。

新陳代謝の促進とは、例えば、髪の毛が抜けて新しい髪が生えてくる、筋肉や肝臓などの細胞が入れ替わるなどです。

【東洋思想的な考え方】

東洋思想では、「食」と「呼吸」を通じて、命のエネルギーを取り入れる、という考え方があります。

体の内と外で、「気」というエネルギーを出し入れする行為、と考えられました。

また、ヒトの生命維持に必須な機能のうち、心臓、胃腸は自分の意志でコントロールできないのに対して、「呼吸」だけは自分の意思でおこなえます。
ここに注目し、心と体のバランスを追究してきたのが東洋医学と言えます。

特に、中国医学においては、人間の生命活動に必要な3要素として、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」があります。

「気」は身体のエネルギー源、「血」は血液、「水」は体液のこと。
この3つが体内を循環することによって、私たちの健康は保たれていると考えます。

肺は呼吸によって「天の気」(空気)を体の中に取り入れます。

この天の気と脾(胃)のはたらきによって得た「地の気」(大地から得られたもの:食物)が合わさって気・血・水がつくられると考えるのです。

また、体の中の汚れた「気」を体の外に出すのも呼吸の役割であるとされます。

さらには、中国医学独特の考え方として「人体の三宝」があります。

「精(せい)・気(き)・神(しん)」です。

ごく簡単に言うと
精: 基礎物質(栄養)
気: 原動力(エネルギー源)
神: 生理活動の調和

古くから「精を練って気と化し、気を練って神と化し、神を練って虚に還る」といわれてきました。

———–
「精(せい)」とは、「よく澄んでまじり気がない」意味で、「人体を構成し、生命活動を維持する基本となる物質」とされる。
 先天の精: 男女の「精」の合体によって子に受け継がれたもの
 後天の精: 食物から得られる栄養素

後天の精は、肺に吸入した「天の気」と合体して「真気」となり、人間の生命活動の原動力となる。

「気(き)」は、目に見えずとらえることができないため、難しい概念であると思われる。

世界の初まりの混沌とした状態が「気」のエネルギーによって天地に分かれ、その気によって万物が生まれた。
その生命のもとになった気を「元気」という。

それが親から子へと綿々と受け継がれてもっているのが「先天の気」。
そして、生まれてからの生命活動の中で「精」を練って作り出した気を「後天の気」という。

気は、生命活動のエネルギー源であり、それが滞ると「病気」となる。

その対策として、体をうごかして気の流れをよくするのが「導引の法」。
そして、天の気を肺から十分に吸引するのが「調息の法」(※いわゆる「呼吸法」)である。

「神(しん)」は、人間の思いや意識をつかさどり、人間のもつ機能の調和をはかり、生命活動を正常に保つ働きがある。
ものを考えたり、体を動かしたりするのは、すべて「神」の作用である。

なお、意識を失って倒れることを「失神」というが、これはこうした考え方から来ている。

中国医学の最古の医書といわれる「黄帝内経(こうていだいけい)」にも、「神気みな去り、生命終わる」とあり、神気が失われれば、死を意味する。
失神状態から意識が戻ることを「気がついた」といい、気が戻らなければ死に至る。
—————-
(参考: 「気功術 [理論編] 」(佐藤金兵衛著):絶版)

 

さらに、哲学や宗教の観点からみると、呼吸は「人と、より大きなものとをつなぐ、スピリチュアルな営み」として捉えられています。

呼吸には単なるガス交換という働き以外にも、 生命エネルギーを循環する働きであったり、スピリチュアルなものを感じさせる働きと言ったものがあるようです。

意識的におこなう呼吸法の効果については、「大安般守意経(だいあんぱんしゅいきょう)」の中でも触れられています。
これは、お釈迦様の教えを、安世高(あんせいこう)菩薩が訳した経典とされています。
この原典が残っていないことから詳細は不明ですが、お釈迦様が祇園精舎で多くの弟子を集めて正しい呼吸の重要さについて話されたといいます。

西洋か東洋か、どちらが良いか悪いか、正しいかどうか、ということではなく、ものの見方が違うだけ。
両方の視点で呼吸というものをとらえることで理解が深まるのではないかと思います。

3 さまざまな呼吸法の例

呼吸法については、実にさまざまなものがあります。
ここではほんの一部ですが、紹介します。

あなたご自身の目的や相性に応じてどれか1つからでも始めてみてはいかがでしょうか。

1)丹田呼吸法


複式呼吸をさらに深めたものに丹田呼吸法というものがあります。
丹田とは、ヘソの下3寸(9㎝)のところにあるツボです。

基本的なやり方は以下の通りです。

① いす、床に座った状態で肩の力を抜いてリラックスをし、背筋を伸ばします。
② 両手を合わせて丹田(下腹部あたり)に添えます。
③ まずは、鼻からゆっくりと10秒くらいかけて吸います。このとき、お腹を膨らませていきます。
④ 続いて、鼻から(又は口から)息をゆっくりと吐いていきます。
  このとき、お腹をへこませていきます。吐く際には、吸うときの2倍程度の時間をかけます。
⑤ 息を吐く時、丹田がしっかりへこんでいることを意識します。

吐く息にのみ意識を集中しておこないますが、その際、上半身を45度程度まで前傾させることで息を多く出します。
最初は、3分~5分程度から始めて、慣れてきたら30分ほど続けるとよいでしょう。

参考:松山先生による丹田呼吸法の解説

ちなみに、他にも独特な呼吸法があります。
興味があれば、試してみてください。

【番外編】

「システマ呼吸法」

これは、旧ソ連軍で生み出された訓練法『システマ』の核となる技術で、一番の効果は、あらゆるネガティブな感情の源、『恐怖心』をコントロールする点にあります。
※参考:ストレス、パニックを消す!最強の呼吸法 システマ・ブリージング 北川 貴英 (著)

「システマ呼吸法」のやり方

① 鼻から息を吸います。その際に、全身に力を入れて緊張させます。
② 口から細く息を吐きながら力を抜いて全身をリラックスさせます。
※呼吸は腹式でも胸式でもどちらでもOKとされています。

以下の点を意識してみるといいでしょう。
・息を吸いながら体を緊張させるときには、体の部位で緊張していないところを探して、もれなく緊張させる。
・息を吐くときは、しっかり全身がリラックスしているか確認する。

「ロングブレス法」

身体の奥深くにあるインナーマッスルを鍛える呼吸法として、「ロングブレス法」があります。
一時期、流行りましたね。

今では忘れ去られている感がありますが、あらためておすすめしたいと思います。
 
この独特の呼吸法によって呼吸筋を強化することにもなります。

インナーマッスルの筋トレといってよいでしょう。

参考: 「女性自身」ロングブレス呼吸法

2)ヨガの呼吸

呼吸法と言えば、まずは「ヨガ」をイメージする方も多いと思います。

呼吸にあたっては、基本的に息を吸うときも吐くときも鼻でおこないます。
また、呼吸の際に息を止めない方法と止める方法があります。

①鼻から吸って、鼻から吐き、息を止めずに流れるようにおこなうやり方
②鼻から吸って、口から吐き、一旦、息を止める(クンバク)やり方

ヨガの呼吸法は、とても多くの種類がありますので、ここでは、その一部として5つを示します。

① 腹式呼吸法
息を吸うときに、お腹をふくらませ、吐くときにへこませる呼吸法です。
お腹をふくらませる際に、横隔膜が下に押され、息を吐くとその逆になります。
腹式呼吸は、副交感神経を活発にする働きがあり、気持ちを落ち着けたり、リラックスしたいときに効果的です。

② 胸式呼吸法
息を吸うときに、肺の少し上の胸の部分に空気を送り込むようにして、胸をふくらませ、息を吐くことで元の状態に戻る、というものです。
胸式呼吸は、交感神経を活発にする働きがあり、体をリフレッシュしたいときにおこなうとよいでしょう。

③ 片鼻呼吸法(ナーディ・ショーダナ)
左右の鼻の穴から、交互に息を吸ったり吐いたりするものです。
やり方としては、まず親指で右の鼻を押さえた状態で左の鼻から空気を吸って、続いて、薬指で左の鼻を押さえたら、先ほどの親指を離し右の鼻から吐きます。
そのまま右の鼻から吸って、吸い終わったらまた親指で右の鼻を押さえて薬指を離して左の鼻から吐きます。
このサイクルを数回繰り返します。

④ ウジャイ呼吸法
これは胸式呼吸でおこないます。呼吸は、鼻から吸って鼻から吐きます。
吸うときと吐くときの時間の長さは同じにして、いずれもお腹をへこませた状態で行ないます。
吐くときに、喉や鼻の奥の気管を細くするイメージで圧をかけます。やや強めに「スゥー」と鼻から吐きます。血流循環や内臓器官の活性化によいとされています。

⑤ カパラバティ呼吸法
短い間隔で素早く「シュ、シュ、シュ、・・・」と腹筋を収縮させながら、鼻から息を吐きつづける呼吸です。息を吸うのも素早くおこないますが、特に意識しないで自然に取りこまれるようにします。
吐くことに集中します。肺や横隔膜、腹筋などを積極的に動かすことになります。
肺や鼻孔、前頭部分をすっきりさせる効果があります

さらには、逆腹式、丹田腹式、火の呼吸などなど多くの方法があります。

参考: 「ヨガの呼吸法でリラックス」

3)瞑想の呼吸

瞑想の呼吸法について

ここでは、NHK「ためしてガッテン」にて放映された番組「瞑想パワー」でのやり方を紹介します。
自宅でも手軽にできるので、お試しください。

以下の手順でおこないます。
① 椅子や床に楽な姿勢で背筋を伸ばして座ります。
② 半眼(軽く目を閉じる。薄目の状態)
③ 口を軽く閉じる
④ 力を抜いて鼻だけで呼吸をする(吸うのも吐くのも鼻からおこなう)
⑤ 最初の1分間 自分の感覚を意識しながらおこなう(感じること)
 次の1分間 自分の呼吸だけに意識を集中しておこなう
 最後の1分間 自分の体の状態に意識を向けておこなう。

 

アメリカでは、座禅、ヨガなどをもとにした「マインドフルネス」という考え方があります。

今、ここの自分に集中し、感じること、気づきを得ること、といった意味で、瞑想の呼吸法と組み合わせておこなわれることが多いようです。

「ヨガ」に対して敷居が高いと感じている人はまずは、瞑想を試してみるよいでしょう。

ハーバード大の論文によると、毎日20~30分、8週間、実践したところ脳の前頭前野にある海馬の一部が体積で5%アップしたとのこと。
(参考: ハーバード大学広報新聞

海馬は、ストレスなどを受けると萎縮して、その状態が続くとやせ細っていきます。

そこで、瞑想によって呼吸に意識を集中させることで海馬を休息させることができます。
また、瞑想中においては、睡眠初期に見られる脳波、シータ波が出ることが分かっています。

 

参考: NHK「ためしてガッテン ボケない!脳が若返るめい想パワー」概要
ためしてガッテン放送概要

10分間マインドフルネス瞑想2018年度最新版 一般社団法人マインドフルネス瞑想協会

4)武道の呼吸(空手の形)

空手の形として有名な「サンチン(三戦)」を例に呼吸法を紹介します。

サンチンの形での呼吸法は、流派によって様々でやり方も異なります。
あくまでも参考の1つです。

【 サンチンのやり方 】
① 肩幅に足を開いて立ち、片方の足を一歩前に出す。
 このとき内股になり、足は八の字型にする。
 つま先の延長線を結ぶと三角形になる。

② そして、ひじと脇をしめて、背筋を伸ばす。

③ ひざは曲げて重心を下げる。
 身体のどこにも余計な力を入れず、それでいてユルユルではなく、しっかり立つ。

④ 呼吸は、鼻から息を吸って口から吐く。
 腹は張った状態で、呼吸する際には背中で呼吸するイメージをもつとよいでしょう。
 吸う際には、力みのないよう自然におこなう。
 吐く際には口から少しずつ出し「ハァーッ、ハッ」と吐く。
 息を全部吐ききるのではなく、少し残す感じでおこなう。
 (吐ききるように指導しているところもあります。)

⑤ 吐ききる前に次ぎの吸う動作に移行する。

⑥ 呼吸は、常に滞ることなく吐ききる前に吸い、吸いきる前に吐き始める。

呼吸が止まると、身体の「気」の流れもまた滞ってしまいます。

参考: サンチン(糸東流)

コツとしては、最初は、呼吸に意識しすぎず、形の動きと呼吸をぴったり合わせるようにおこなうとよいです。
意識して息を吸わなくとも自然に入ってくる感じになります。

力強い呼吸をしようと意識しすぎると、むしろ肩や首、腕などに余計な “力み” が入ってしまうので注意が必要です。

最初のうちは難しいかもしれませんが、少しずつ慣れていきましょう。

武道の呼吸法は、一生かけて極めていくものです。
1年、2年やって完成するものではないので、気長におこないましょう。

やってみてうまくいかなくても、すぐにあきらめず、コツコツと継続することに意義があります。

機会があれば、実際に武道の先生に学んでみるとよいでしょう。

武道の呼吸は、常に相手がいることを想定しています。

そのため、息を吸うときも吐くときも腹は張った状態(ゆるめない)にします。
攻撃を受けても腹を張っておくことでダメージを軽減することができます。

あわてることなく、それでいて、すみやかに鼻から自然に息を吸い、口から吐き出します。

吐く際には、「ハァー」とゆったりと吐き、最後に「ハッ」と強めに吐きます。

ただし、100%吐き切るのではなく、80%程度を吐く感じで、少し余裕を残します。

吐いた後、吸った後、呼吸を止めないようにしましょう。
身体が固定化(居付き)してしまうからです。

武道での「居付き」とは、”死に体(しにたい)”とも呼ばれ、全く反応できない、動けない状態で、隙だらけの状態です。真剣勝負において、危険な状態です。

刀での斬り合いであれば、ばっさりと切られてしまうかもしれません。

呼吸が止まると身体の気の流れ、循環が滞ってしまいます。

体の動きと呼吸を合わせるように心がけながらも、呼吸の気持ちよさも感じとってみましょう。

まとめ

以上、呼吸と呼吸法の概要と意義について整理しました。
呼吸法によって、あなたの心身が強化され、気力・体力ともに満ちあふれた日常生活を送られることを期待しています。

あとがき

呼吸法の違いによって、身体に流れる気の方向にも違いがあると聞きました。

ヨガ、瞑想の呼吸法は、エネルギーが身体の内側に向かう
 自己と向き合う呼吸法においては、内側にエネルギーが入り込むのでしょう。

武道の呼吸法は、エネルギーが身体の外側に向かう
 武道では常に相手がいることが前提になっています。相手と対峙し、調和する。
 戦わずして勝つことを究極の目的としていることから武道の呼吸法においては、周囲に影響力を及ぼすエネルギーが働くのでしょう。

呼吸は吸って吐くという単純なものでありながら、とても奥が深いと感じます。

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